日々徒然 

5分で書ける程度の戯言

追求しすぎてはいけない #サイドバイサイド隣にいる人

   本日公開された映画「サイドバイサイド 隣にいる人」の雑感を書いています。

 

  ネタバレもあります。

  まだ観ていない、劇場へ行くまでネタバレは避けたい、など。

   いろいろご事情もあろうと思います。 

  でもこちらも旬なので、書いておかねばなりません。

   どうか自衛なさっていただいて、下の画像以下、スクロールされないようにお願い致します。

 

 

 

 

 

 

   読んでからの苦情は一切受け付けません。

   悪しからず。

   

 

 

 

  以下は何度も書き変わります、まだ二度しか見ていないので。

 

  

 

 

🐄とりあえず本日のtweetでもうワンクッション🐄⸒⸒

 

 

 

   この後、「サイドバイサイド隣にいる人」の雑感です。

 

 

 

 

   2023.3.20 目持っとく  サイドバイサイド雑感

https://meytameda.hatenablog.com/entry/2023/03/20/233000

 

   

 

 【そこに存在しない"誰かの想い"が見える不思議な力を持つ青年・未山
   かつての恋人との再会によって明らかになる、彼の秘密とは——】

 

   これ、明らかになってないんです、未山くんの秘密。

   

   2回観て、朧気に分かったことだけ書きますが、未山くんの秘密は明らかになってないし、秘密なんてあったのか、秘密でなければそれは一体どういうものだったのか——

   つまり彼の中で解決もしていない、でもそれでいいんです。

   "なにかの想い"を抱えた人たちと会う未山の衣装は白。

   透明感と柔らかな雰囲気を持ち、彼は人々の傷みや想いをすくい取り癒せるものは癒し、取り除けるものは預かりながら周囲の人たちを癒している。

   不思議な力は持っているけれど、実は彼自身も傷ついていないわけではない。

   傷ついた過去がないわけでは無い。

   過去を語るとき、隠れ家のような自身の家に帰るとき、彼の色はモノトーンになる。

   

   未山の過去である草鹿、そして過去の恋人の莉子は黒。同じモノトーンでも明度が低く、過去に"暗いものがある"ことが明示される。

   実際には黒は莉子の色で、それは白い未山に対して反対方向の果てしない純粋さを表すのではないか。

   草鹿は莉子の黒に馴染もうとしながら髪を金色にし、莉子に自分の存在を示そうとしたのかもしれない。

   それでも過去から出てこない莉子に業を煮やし、彼女が大切にしていた昔の恋人からの手紙を盗み見、それを歌にした。想いは募りとうとう生霊となり、未山に付き纏うことになる。

    未山と同様に"見る"力のある美々に指摘され、草鹿に巡り会った白い衣装の未山は、草鹿から莉子(過去であり黒) を突き返され、自分の家で莉子ともとに過去に向き合うことにする〰︎︎のだが、そこに現れた詩織と美々の母子に救い出される形で明度を取り戻すことになった。

 

   詩織は未山にとって現在(いま)で、自分とは異質な人。

   たくさんの色と温もりを携えた柔らかな人。

   詩織は未山に明るい寝室と柔らかな寝床、そして淡く美しい色の衣服を与えた。   

   こう書くと何となく未山が詩織の従属物みたいに見えちゃうけど、詩織の大きさはそんなものでは無い。  

   けして利他だけでは無い、自分の世界の調和を考えているような人。

   未山に清潔なトレーナーを着させておきながらその服で濡れた手を拭く、なんとなく矛盾がある。それも作中ですら二度も~キスシーンにも変わるイチャイチャシーンである。   

   詩織は未山の家で出会った莉子を、その純粋な黒を侵さないように気をつけながら闇の中から引っ張り出した。

   黒いドレス、黒い画材、白い食べ物、白い絵。

   未山とではモノトーンでしかなかった莉子の心に、わずかずつ色が着く。

   

   

 

 

   作中、"光り"がとても丁寧に撮られている。

 

   眠る未山を包み込む詩織の寝室。

   美々が魔法の天使のアニメを見ているリビング。

   キッチンで野菜を洗う未山の手元。

 

   ダイニングテーブルは少し暗い。詩織はそこを明るくしたい。

 

   未山の家には照明器具がない。

 

   未山と草鹿の間にはセリフもなく、白紙の関係でしかない。繋ぐ莉子を返してしまえば、草鹿は色を取り戻すのだろうか。

  

 

   美々と遊ぶ未山の周囲には緑。

 

   春夏秋冬春夏秋冬

   はるなつあきふぅはるなつあきふぅ

 

   いろんなものに囲まれて生きていくんだよ(←ちょっとうろ覚え)

 

   いろんなものに支えられ、その度に色を変え、生きたいように生きていくんだよ

 

   

   莉子は、闇から掘り出すように真っ白な未山を描く。

   黒いから、暗いから、動けないわけではない。

   莉子は 莉子なりに長いときを未山を思って過ごした。モノトーンでしかないかもしれないけど光のように透明な未山は彼女にとって天使のような存在だった。

   詩織母娘と暮らすうち、莉子もまた色をつけていく。

   人よりも薄い反応とはいえ、莉子だって笑えない訳では無い。 

   口には出さなくとも"美しい"ものだって沢山あることを知っている。

   生きていくうちに人は変わる。

   お腹で子どもが動くのを感じている莉子の衣装は明るいオレンジで、生命の明るさを表しているのだろうか。

   

   Let’s Drive Outsaid! (かな?)

 

   莉子の子どもは男の子だろうか

 

 

 さまざまな人にその居場所を譲った男の——

 

 

 

   物語の最後に、未山と同体の男が現れる。

   その男は詩織の恋人にはならないが、未山の代わりにその場所を埋める。

 

   この物語は深く追求してはいけない。

   未山はけして美しさと透明感だけで表される存在では無い。

   彼は、登場人物全員と同体であり、同じように傷つき、癒され、悲しみを忌避し、美しいもの、温かいものが好きである。生々しい人間そのものなのだ。

   美々を見つめる柔らかな眼差し、それと同じ瞳で詩織を熱っぽく見、触れたい欲で震える指先を握り込む。

   

   登場人物全員と同体であり、未山は見ている私たちとも同じ生き物であることが分かる。

   私たちの悩みや過去の傷、そんな痛みが簡単に解き明かされ、癒されるものだろうか?

   

   未山はいつでもどこにでもいて・・・

   そして、どこにも実現しない存在

 

   いつでも変わる存在

 

   隣にいるだけの